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イベントレポート:FUSE Limited #1 メトロエンジン x 凸版印刷

作成者: for Startups, Inc.|2021-06-14

成長産業支援事業を推進するフォースタートアップスが開催する「スタートアップ x CVC/大手・中小企業」に焦点をあてたウェビナー「FUSE limited」。成長産業カンファレンス『FUSE』のコンセプト「スタートアップを中心とした”融合”と”着火”」をスローガンとして引き継ぎ、協業・共創事例を発信していく。

初開催となる今回は、ダイナミックプライシングをAIやディープラーニング技術を用いて展開するメトロエンジン株式会社(以下、メトロエンジン)より取締役COO 兼 チーフデータサイエンティストの小阪氏と凸版印刷株式会社(以下、凸版印刷)事業開発本部 戦略投資センターの吉田氏をお招きして、どのように連携しているかなどのポイントを聞いた。

ダイナミックプライシングがもたらすメリット

購買意欲などのタイミングに応じて、価格を上下させて消費を促すダイナミックプライシング。2019年にユニバーサルスタジオジャパンがチケットの価格を時期に応じて変動させたことがきっかけとなった。しかし、小阪氏はテクノロジーが整ってきたことで、仮にこのきっかけがなかったとしても、非常に大きな市場であり、ビジネスが広がることは必然と語る。

実は非常に身近なところにもたくさんの機会は存在しており、二社が協業を検討したきっかけはスーパーの商品価格などを表示する電子タグだった。凸版印刷が手がける電子タグを、ダイナミックプライシング技術を通じて、適切なタイミングでタイムセールを行うなど、大きな可能性を秘めているという。例えば、売れ残りを防ぎフードロス対策にもなるし、逆に多少価格が上がったとしても売れるタイミングには、小売業の利益拡大につながる。小売業界において、ダイナミックプライシングは今後、着実に広がっていくことが予想される。

大手ならではの社内調整の重要性と有益性
凸版印刷のCVC的な機能として活動する戦略投資チームは幅広い領域をカバーしている。事業シナジーがなければ出資はないというほど、徹底された業務提携へのコミット。そんな中、吉田氏が感じる難しさは多数あるものの、メトロエンジンとの共同プロジェクトがうまく推進できている要因について語った。

まず、他事業部の巻き込みと並行して、吉田氏自らがプロジェクトオーナーとなり、メトロエンジンの小阪氏をパートナーとして活動を進めていることが大きい。小阪氏からも、凸版印刷との共同プロジェクトにおいて定例会議などに定期的に凸版印刷の経営層が参加していることを挙げた。これにより、その場で他事業部との連携可能性などについて、経営層が自ら考えて、推進まで動きが出てくるため、スピード感含めて、スタートアップ視点でも非常にありがたいという。

多数のトライ&エラーを繰り返しながらも、お互いの考えや文化など尊重しあい、共通のゴールを目指す二人の表情は終始リラックスした様子で、双方への信頼感が感じられるものだった。

まもなくローンチされる非常に興味深い二社のプロジェクト。詳細は明かされなかったが、今後の動向が楽しみだ。

▼登壇者情報

メトロエンジン株式会社公式サイト
取締役COO 兼 チーフデータサイエンティスト
小阪 翔

京都大学理学部化学科卒業、京都大学大学院理学研究科(量子化学専攻)修了。ミシガン大学Ross School of Business修了(経営学修士、成績優秀者で構成されるベータガンマシグマ会員)。MBA取得後は同大学院に研究員として残り、統計学と機械学習のビジネス活用を研究。帰国後は野村総合研究所でデータサイエンティストとして各種業界(消費財、金融、エネルギー、教育、など)のコンサルティングに従事。2019年メトロエンジンに参画。

凸版印刷株式会社(公式サイトTOPPAN CVC JOURNAL
事業開発本部戦略投資センター
吉田 光志

上智大学大学院理工学研究科(電気電子工学専攻)修了。中小企業診断士。 前職にて営業・企画・経営企画を兼任し、後に管理部執行役員 兼 上場プロジェクトリーダーとして従事、東証マザーズに上場。 2019年に凸版印刷に入社し、ベンチャー企業との資本業務提携及び事業開発を推進。

ファシリテーター
フォースタートアップス株式会社
アクセラレーション本部オープンイノベーショングループ

荒井 勇作

 

【オープンイノベーショングループの取り組み】
フォースタートアップス株式会社では、CVCや事業会社からの資金調達を目指すスタートアップをサポートする『資金調達支援サービス』を展開中。これまでの資金調達を経て、新しい成長フェーズに入る皆様に、150社を超える出資ニーズの中から適切なパートナーをご紹介します。

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成長産業カンファレンス「FUSE」とは】
フォースタートアップス x CIC Tokyo の共催で2021年に初開催。2,400名以上の登録を記録し、64名以上の著名スタートアップや大手企業同士の協業事例を中心とした大型カンファレンス。現在はアーカイブ動画を全て無料にて公開中。